2009年11月3日(火) 飯田橋のカフェにて

NPO法人「イロドリ」の設立総会が、いよいよ11月8日(日)と迫ってきた。
書類作りが煮詰まってきたので、”あや”と会って打ち合わせをすることになった。

前回、「魂入れ」で方向性が決まってきたので、
今回は、極めて事務的な話、になるはずだった。

書類を見ながら必要事項を埋めていたが、いつの間にか話がそれていた。

僕も”あや”もNPOについていろいろ勉強を重ねてきた。
その上で、「NPOって、すごいよね!」という話になった。

僕が以前読んだ本で、『福祉NPO ―地域を支える市民企業

』(岩波新書)
という本があって、大変感銘を受けたことがあった。

それまで、NPOというのは、単なるボランティア集団だと思っていた。
そして、利益にならないことを、本業で稼ぎを得ながら活動するものだと思っていた。

しかし、その本を読むと、NPOはそんな単純なものではなかった。

本書で紹介されたNPOの中には、グループホームや移送サービス、
配食サービスなどがあり、いずれもお金をもらって行う活動である。

そして、それらは、サラリーマンを引退して専業でやっていたりする。
サービスの内容を見ると、企業や社会福祉法人がやるのと変わらなく見えた。

何故そのようなことをNPOでやるのか、その理由が目からウロコだった。

グループホームは地域密着型。
だから、地域住民による理解ある、きめ細かいサービスが必要。

移送サービス、配食サービスは、介護保険の適用外のもの。
しかし、必要とされているが、利益を取るのは難しい。

こうした、営利企業で行うにはサービス面・価格面で難しく
そして行政による制度化を待ってはいられない
そういったサービスを提供できるのが、まさにNPOなのだという。

本書で紹介されているサービスは、
サービス面で、地域住民によるきめ細かい対応が必要だったり、
介護保険適用外といういわゆる「隙間」になっているサービスが多かった。

そうだとすると、社会的な難題が多く、
名だたる営利企業が不況にあえいでいるこの現状を見ると、
NPOの存在意義というのは想像以上に大きいのだと感じた。

それは、株主などへの利益の分配がなく、
税的にも優遇されるNPOだからこそできる活動なのだ。

私たちの活動も、営利企業が行うには利益を上げるのが難しい。
そして行政によってこの活動を提供することは難しい。

ここに「音楽・アート」と「社会に開く」という志を求心力に、
様々な才能や意欲のある方が集まってきている。

きっと、この活動は意味がある。

そんなことを”あや”と2時間近く話し込んでしまった。

とにかく、NPOは、10人集めて、定款などを揃えて申請すれば良い。
利益を上げてもよいが、分配はしない。

などという単純なものではない。

営利法人でも、行政でもサービス化できない。
でも必要とされている価値を社会に広げていくところNPOの真髄がある。

今週末はいよいよ設立総会。
ますます気合いが入った話し合いとなった。