2009年11月19日(木) 静岡県 特別養護老人ホーム「ながいずみホーム」さんにて

今回お伺いしたのは、静岡県駿東郡長泉町にある、
特別養護老人ホーム「ながいずみホーム」さん。
【公式HP】 http://www.nagaizumi-home.jp/index.html

ボランティアさんの受け入れに積極的で、
年に一度のお祭りでは100人近くのボランティアの方が来られるそうです。

頻繁にレクリエーション活動もされており、
それぞれの利用者さんが趣味や生きがいを持って生活しておられます。

ながいずみホームさんに今回慰問に訪れたのは、
「想い出の歌クラブ」黒石弘さん。

数年前、奥さんが病気になられて介護施設に入所したのをきっかけに、
利用者さんに楽しんでいただける歌の活動を始められたそうです。

現在77歳というご年齢で、15か所もの施設と病院を、
毎月定期的に回っては活動をし、スタッフの方、利用者様に喜ばれています。

黒石さんは、ご自身も病気で障害を持っていながら、
それを乗り越えて10年以上の間、活動を続け、多くの方に勇気を与えて来られたそうです。

そんな黒石さんのテーマは、「大きな声と笑顔はどんな薬よりも効く」ということ。
今回の慰問活動を通して、私はその素晴らしさを体感しました。

曲目は、以下の通り。
1.夕焼け小焼け
2.赤とんぼ
3.案山子
4.小さい秋見つけた
5.里の秋
6.もみじ
7.あの子はだあれ
8.青い目の人形
9.赤い靴
(ここで利用者さんのハーモニカ演奏3曲)
10.股旅演歌
11.赤城の子守唄歌
12.旅姿三人男
13.東京キッド
14.東京行進曲
15.東京ラプソディ
16.東京のバスガール
17.東京音頭
18.隣組

2階のデイルームは開始前から利用者さんが集まって
黒石さんが来るのを今か今かと待っていたご様子。

赤シャツがトレードマークの黒石さんが来場すると、
特に準備をするでもなく利用者さんとの世間話を楽しんでいます。


開始時間の10時になると、「ぼちぼち始めましょうか」と
いよいよ会がスタートします。

「今日は11月19日ですね。」
まずは季節の話や天気の話をしながら、
今日は秋をテーマにした歌を、と歌に入ります。

「秋の歌といえば?」
と質問を投げかけ、利用者さんが思い出しながら歌を選び、
「夕焼け小焼け」「赤とんぼ」「もみじ」などの秋の歌を歌います。


歌が始まると、会場中が大合唱。
歌詞カードもないのに、息がぴったりで歌っています。

黒石さんは手で指揮を取り、歌いながら皆さんをガイドします。
黒石さん自身はガイドに徹し、主役はあくまで利用者さん。

歌の2番に入ると、黒石さんは歌わず、皆の思い出すのに任せます。

最初は歌いだしが分からず、いったん止まったりもしますが、
黒石さんがジェスチャーで言葉を思い出させると、
一部の人が歌い出し、そこから歌が広がっていきます。


黒石さんは「そう!そう!」と励ましながら指揮に徹します。
途中で止まっても全然気にしない。
冗談を飛ばしながら歌は続きます。

「大声を出して歌うと、シワが2本減るよ」
「大声を出すのはどんな薬よりも効く」
と曲間で皆に繰り返し伝える黒石さん。

利用者さんに本当に楽しんでもらいたいという
純粋な気持ちがステージに表れていました。

さて、黒石さんが面白いのは、歌だけでなく、曲間のお話。


歌を始める前は、必ず歌を思い出すきっかけを与えます。
「秋の歌といえば?」
「昔は学校の裏の山に柿を採りに行ったね。」
「初恋の人の名前は覚えてる?」

利用者さんに質問をしては、情景や昔のことを思い出してもらい、
そこから歌に入っていきます。

途中で黒石さんの冗談も交じり、笑いの絶えないお話。
時には利用者さんも大声で会話に参加していました。

中盤に、利用者さんのハーモニカ演奏を挟み、
後半は「東京」にまつわる歌を歌い、最後は「隣組」でフィナーレ。


隣組の歌詞カードは、黒石さんが人数分自前でコピーしたもの。
利用者さんの人数を聞いてコピーする作業すら幸せを感じるという黒石さん。
日々アクティブに活動されていることもあり、77歳を感じさせない若さです。

会の終了後も、利用者さんと会話したり握手をしたり。
「次はいつ来るの?」と惜しまれながらの退場でした。


終了後、黒石さんにお願いして、ボランティアの様々なことを教えてもらいました。

黒石さんのテーマは、「大きな声と笑顔はどんな薬よりも効く」ということ。
だから歌を通して皆で声を出し、笑いを交えて楽しめる会を行っています。

「聞いているだけではだめ。」
と、利用者さんが主役となり完全参加型の環境を作っています。

一方、黒石さん自身は、そうやって活動することで、
笑顔をもらうと、逆にこちらが元気をもらっているかのように感じ、
「どっちが慰問されているのか分からないね」と笑っていました。

黒石さんは、その日の午後も三島の施設での慰問を予定しています。
とても忙しい日々ですが、充実して幸せな毎日だそうです。

「こんなことができるのも、奥さんのおかげ」
亡くなった奥さんに感謝しながら、これからも活動を続けていくそうです。

利用者さんを元気にできるボランティアがもっと増えてほしい
黒石さんの願いです。

私も、この活動を通して、利用者さんが参加できて笑顔で元気になれる、
そんな娯楽ボランティアが増えていけば幸いだと思っています。

黒石さん、素敵なステージをありがとうございました!
スタッフの皆様、今回の場を作っていただき、ありがとうございました!

★特別養護老人ホーム ながいずみホーム★

【公式ホームページ】
http://www.nagaizumi-home.jp/index.html

【娯楽ボラ.comからも見られます】
http://www.gorabora.com/